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Channel: 電子メディア雑感 – OnDeck
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[編集長コラム]米国編集者事情 -いま編集者に求められる素養とは

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先週、日本電子出版協会(JEPA)主催で「米国電子出版動向 2015」セミナーが行われました。講師はデジタルタグボート代表の辻本英二さん。辻本さんは元インプレスR&Dの同僚で、本誌OnDeckの立ち上げメンバーの一人です。実は、「OnDeck」という名称は彼の発案でした。

辻本さんは、スタンフォード大学の企業留学の経験があり米国事情に明るいので、2011年以来、毎年、このセミナーで米国の電子出版の最新動向を紹介されています。今回も盛りだくさんの内容でしたが、その中でユニークな話題があったので紹介します。

それは、米国での編集者募集広告の話です。例として出されたマグロウヒル・エデュケーションの募集広告の人材イメージは、以下の驚くような内容でした。

・他社との戦略的パートナーシップを推進できる編集者

・事業計画が書け、P/Lが読める編集者

・少なくとも1~2年間のM&A経験がある編集者

・著者との印税を含めた契約締結が行える編集者(1年間に12人)

・著者&ソフトウェアエンジニアと親密に仕事を進められる編集者

 

この内容から推察すると、出版社側がやりたいことは、

・他社との事業提携、または企業買収がしたい

・新規事業を立ち上げたい

・新規著者を開拓したい

・ITシステムを使った事業展開をしたい

 

といったところでしょうか。つまり、本単位の企画・編集ができる編集者ではなく、事業単位で「編集」できる人材を求めているということでしょう。それも、他社との提携やITを駆使してです。いかに米国とはいえ、こんな編集者が居るのだろうかと思えます。

編集という概念が、デジタルメディアになったことで、さらに広く拡張されて来たと見ることもできるかも知れません。そう考えると、いまの編集者がこれらの素養を身に付けるより、これらの素養を持った人が編集力を身に付けるほうが早いのかも知れません。どちらにしても、米国の出版革新はここまで来ているのかと、改めて感心したしだいです。

 

さて、日本ではどうでしょうか。改めて自分の会社の事情で考えてみると、「ITをツールとして使い、他者と協業し、新しい製品や売り方を作っていく」、そんな人材がほしいと思いました。程度の差はあれ、方向感は同じかも知れません。

 

インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信

(次回は10月1日の掲載になります)


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