本誌のニュースでも報じていますが、EPUBの索引機能が規格化されました。本誌OnDeckは、2010年にEPUBマガジンとしてスタートしましたが、当時からEPUBに索引機能がないことは気になっていました。やっと、という思いです。
私は、本というメディアにおいては、目次・脚注・索引がとても重要な要素だと思っています。これらが、単なる紙の束、またはファイルの束を機能的な意味で本たらしめていると思うのです。今回の索引の策定で、最後の1つが揃ったことになります。
これらは、いずれも「飛び道具」です。目次は、ページ番号を参照する(または見出しをクリックする)ことで該当の見出しのページにジャンプすることができます。脚注は合番などによりその解説箇所にジャンプできます。そして索引は、通常は巻末にある単語一覧からその単語が解説されている箇所にジャンプできます。これらのジャンプ機能の実現は、本来、紙の本よりデジタルである電子書籍のほうが容易、かつ高度に実現できるはずです。
索引については単語検索で代用できると思われるかも知れませんが、紙の本の索引では、適格なページが記載されていて無駄がありません。たとえば、ある用語が本全体に100回登場していた場合、編集者は本の中でその用語がよく解説されていると思われるページを数個だけ選んで記載しています。その手間のおかげで、読者は無駄なページをめくらされる必要なく目的を遂げられ、単純検索より効率がいいのです。
索引機能がないと困る本は少なくないと思われます。辞書・事典の類は当然として、新しい用語が多く出てくる専門書のほとんどが該当するのではないでしょうか。弊社が主に発行しているコンピュータ関連書もその1つです。
市場調査によると、電子出版で先行している米国で、電子書籍の市場シェアが30%くらいまでで伸び悩んでいると報告されています。私は、この原因の1つとして、現在のEPUBの表現力の限界があると思っています。今回は、索引以外に、用語集や立ち読み機能なども拡張されており、次の段階への進展が期待できます。
ただ、今回は規格が策定されただけで、実際には、各ストアが提供している電子書籍ビューワにその機能が実装されるのを待たなければなりません。
開発関係の皆さま、ぜひ早期の実装をお願いします。
関連ニュース:http://on-deck.jp/archives/20152427
インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信