去年の5月にドローンの盛り上がりについて報告しましたが、進化はさらに加速して進行中のようです。特に、米国の状況は注視する必要がありそうです。米国在住のジャーナリストで、通信関連では定評のある小池良次さんとは旧知の仲なのですが、彼はいまドローンに注目していて、米国ドローンの最新事情を教えてもらうことができました。今日は、その驚きの内容をお裾分けします。
米国では、ドローンは「ミリタリー(軍用)」、「トイ&ホビー(玩具・趣味)」、「コマーシャル(商用)」の3カテゴリーに分けられるそうです。ミリタリーは米国特有でしょうが、日本ではトイ&ホビーの話題が先行しましたね。この中で、コマーシャルでの利用構想が水面下でいろいろ進んでいて面白いとのことです。
コマーシャル利用では、アマゾンが2013年に発表した「Amazon Prime Air」構想が有名です。この報道でドローンに注目が集まったと言ってもいいでしょう。グーグルも対抗して、2014年に「Wing」構想を打ち出しています。これらは、ドローンを物流に利用する構想です。これだけでも「先進的ですごい」と思ったのですが、まだその先がありました。
米連邦航空局(FAA)は、商業小型無人飛行システム(sUAS)のための航空管制システムを本気で構築しようとしているとのことです。これには、NASA(連邦航空宇宙局)も加わっており、150メートルより下の空域を管制しようというのです。これは大きな構想です。つまり、いま飛行機が飛んでいるより下の領域を、ビジネスで利用できるドローン専用の空路とし、安全に飛べるようにコンピュータ管理していこうというわけです。
これを作るには、障害物の迂回、気象の認識、危険領域の認識、衝突回避など、さまざまな現象への対応が必要になると予想され、それを各固体とクラウドシステムとの通信により制御していくことになります。このあたりには、ロボット、クラウド、IoT、人工知能などの最新技術が総動員されるのでしょう。
最終的には、人を乗せて飛ぶ「空のタクシー」まで視野に入っているそうです。直観的に「恐ろしい」と思ってしまいますが、いまは車の自動運転が盛んに宣伝されている時代。考えれば、複雑な状況下にある道路を運転できるなら、空も飛べるのかも知れません。
一方、ドローンを技術的な視点で見ると、「ハードウェア」「オペレーティングシステム(OS)」「バックエンドシステム(クラウド)」に分けられます。先の航空管制システムはバックエンドにあたります。今後、各国が作り出すさまざまなハードウェアを制御するにはパソコンのOSのようなものが必要になるでしょうから、ドローンOSの重要性が増していくと思われます。現実には、オープンソースのLinuxをカスタマイズしたものが多いようですが、マイクロソフトもドローン搭載を視野に入れた組み込み向けOS「Windows 10 IoT」を発表しています。
このようなドローンの進展の様子を見ると、パソコン、インターネットの黎明期と似ており、巨大マーケットの登場を予感させます。日本は、パソコンのときは得意のハードウェアで世界の仲間入りできましたが、ドローンでは大きく水をあけられつつあるとのことです。参入される方は、米国情報に注視ください。
インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信
※この連載が書籍になりました。『赤鉛筆とキーボード』