先週、インプレスR&Dで進めてきたPODのニュースが日経新聞に掲載されました。さすが日経新聞、すごい反響がありました。
POD(プリント・オンデマンド)については、このコラムでも何度かとり上げていますので、ご存知の方も多いと思います。今回の発表の主旨は、PODの流通網が完成したので、それを「第三の出版方式」と位置付けたということです。
第一の出版方式は、グーテンベルグ以来続く伝統的出版。第二の出版方式は電子出版。そして、今回のPODによる出版を第三の出版方式とさせて頂きました。PODは出版社からPODマシンまでは(PDFの流通なので)電子出版ですが、PODマシンで製造された後は紙書籍なので伝統的出版という、両方の特性を合わせ持つハイブリッドな出版方式です。
これらは、レコードがCDになったような取って変わるとか、競合するものではないと思っています。補完関係が理想ではないでしょうか。たとえば、伝統的出版で課題だった品切れはPOD出版で解消できます。また、コストのために諦めていたような少部数の出版は電子出版やPOD出版なら対応でき、企画の間口が広がります。逆に、物としてのデザインや装丁を重視する場合は伝統的出版の出番でしょう。
マーケティング的な側面で言えば、昨今のデジタルメディアを中心とするライフスタイルの変化に対応するには、自身もデジタルメディアである必要があり、電子出版が適当です。無料か安価な電子出版で告知し、最終的には紙の本を買ってもらうという手法もあるでしょう。また、POD出版で出して、販売成績のいいものを伝統的出版にして販売を加速することも有効だと思っています。
つまり、出版の方式がさらに多様になったと思えば、未来が明るく見えてくると思うのですが、いかがでしょう。
今回は、この第三の出版方式を弊社だけでなく、ほかの出版社や一般の法人の方々にも使ってもらえるようにサービスメニューを作り、提供しています。興味がある方は、ぜひご活用ください。
POD流通サービス: http://nextpublishing.jp/pod
インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信