いつもOnDeckをご愛読頂き、ありがとうございます。
2010年12月に“電子出版イノベーションのビジネス実践誌”として創刊した本OnDeckですが、この4月いっぱいで公開情報誌としての役割を終了させて頂こうと思っています。
理由は2つです。1つは、創刊当初の目的だったEPUBの普及啓蒙に加え、電子出版の立ち上がり期の公開情報誌としての役割を終えたのではないかと思うことです。もう1つは、この間に取り組んできたいろいろな実証実験により得られた情報やノウハウを利用して、自ら事業者として実行していきたいと思うからです。
OnDeckが扱ってきた電子出版は、ITが出版という領域に作用して生み出されたイノベーティブなテーマですが、それは同時に我々出版メディアの生業の変革でもあります。つまり、自分たちが立っている土台が激変していく様を、自ら実況中継しているようなものでした。そのためOnDeckでは、当初よりニュース解説のほか自分たちでも実証実験に力を入れ、その結果を読者と共有してきた歴史があります。
たとえば、これまで手がけた実証実験には下記のものがありました。
- EPUBの作成
- 自動組版(EPUB>PDF)
- POD流通
- send2kindleを使った配信
- EPUBスタンド(電子コンテンツ配信システム)
- facebookとの連携
- Web連載の電子書籍化
- 公開出版企画募集 など
これらの実証実験を通し、OnDeckでは以下のような予見や提言を行っています。
- 電子化はなるべく安く
- PDFでいいじゃないか
- リフローとはレイアウトをコンピュータにまかせること
- トップが本気でなければ成功しない
- デジタル世界の“ルール”を知らないと失敗する
- 電子出版は出版とインターネットの間で成長する。
- セルフパブリッシングが台頭し、100万人級の新人著者が登場する。
- 多くのストアでPODが使えるようになる。
- 「編集」の重要性が改めて認識される。
- 雑誌のほとんどは電子雑誌となる。
- SNSが電子出版のメインマーケティングツールになる など
これらは2012年から2013年にかけて発表したものですが、まだ実現していないこともあるものの、概ねその方向に進んでいると言っていいのではないでしょうか。
これらの気づきから、弊社では「NextPublishing(ネクストパブリッシング)」という電子出版プラットフォームを開発し、事業化しました。NextPublishingについてはこのコラムで何度も触れていますので、ある程度はご存じだと思いますが、デジタルファーストでEPUBもPDFも同時に作成・流通できる新しい出版モデルです。今後はこのNextPublishingをよりオープン化し、多くの出版社、編集者、著者の皆さんと共に、電子出版革新の波の中を泳いでいきたいと考えています。
OnDeckのその後については、終回までに改めて説明させて頂く予定です。いまは、これまでのOnDeckの総まとめして日本の電子出版についての最新提言をまとめているところです。終回までには発表できると思いますので、ご期待ください。
インプレスR&D発行人/OnDeck編集長 井芹昌信
※この連載が書籍になりました。『赤鉛筆とキーボード』
http://nextpublishing.jp/book/6865.html